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犬にとっての「オスワリ」の役目と「オスワリ」の姿勢で病気発見は可能?
 オスワリといえば、すっかり犬の芸の代名詞のようになっているが、教えなくても犬はオスワリの姿勢をとることがある。はたしてオスワリの姿勢とは、本来犬にとってどんな意味があるのだろうか。インストラクターの八木淳子先生に聞いてみた。「人が教えた芸としてのオスワリ以外で、犬がオスワリする理由は2つほど思い当たります。1つはカーミンクシグナルとして出すもの。これは他の犬や人に会ったり、慣れない場所に入った時など、なんらかのストレスを受けた際に、自分をリラックスさせたり、相手を落ち着かせたりする時に使われます」

 なるほど。散歩中に苦手な犬に会った時、急にオスワリする犬とか、写真を撮ろうとしてカメラを向けたとたんにオスワリし出して「モデル向きだねこなんて言われる犬がいるけれど、彼らはもしかしたらカーミンクシグナルとしてオスワリを使っていたのかもしれないということか。さて、考えられるもう1つの理由とは?

「それは、リラックスと警戒の間の動作として座る場合。オスワリは、フセや寝転がるなどくだけた格好と、警戒して立ったり動いている時の、ちょうど中間の姿勢といえます。このためオスワリしていると、すぐリラックスの姿勢にも入りやすいし、逆にすぐ立ち上がって動くこともしやすいのです」長時間動いたり立ち続けてちょこっと休みたい時、逆に休んでいたひとときを終えてこれから動き出そうっていう時に、犬は自然にオスワリをするということ。

 ちなみに、自然界において立場の弱い動物は、犬のようにオスワリしない。例えば鹿や馬などの草食動物。彼らは起きている間は常に立っていて、いつでも逃げられるように警戒している。犬の場合は、肉食獣としての野生における立場がこれらの動物よりも強いがために、オスワリの習慣があるともいえるだろう。

 最後に、しつけとしてのオスワリについても質問。食いしん坊の犬はオスワリを覚えやすいって本当?

「本当です。たいていの人が、食事の前のオスワリを教えますよね。座れば食事がもらえることに喜びを見いだす食いしん坊な犬は、意欲的にその姿勢を繰り返します。繰り返すことで、犬は学習しますから、必然的にオスワリを教えやすいわけです。しかし食欲以外のことに意欲を見せる犬なら、例えばオモチヤで遊ぶこと、撫でてもらうことなどをフードに代わるごほうびとして使えば、同様に練習はできます」

 よく、ごはんやオヤツの前に自ら座って待っているような犬がいるけれど、これはその食欲ゆえにオスワリの定着も早いということになるらしい。犬が食いしん坊でなければ、何に対してなら意欲が持てるのか、飼い主が見つけてあげよう。

 なお、このようにモチベーションを持たせ、できたら犬にとっての報酬を与えるという基本を繰り返すことで、犬がいきいきし、いろいろな面で意欲的になってくるのだとか。「人も犬も、自分のやったことを否定されるより、評価されたいもの。このようなトレーニング方法でオスワリを覚えた犬は、飼い主のことがもっと好きになり、生きる楽しみがどんどんわいていくのです」

 いわば、オスワリの正しいしつけが犬の生きる意欲を増すということ。スバラシイ!


急に姿勢が変わった場合はトラブルを疑っても

 読者アンケートの結果を見てもおわかりの通り、おねえ座り、尻座り、寄っかかり座りなどなど、ユニ−クなオスワリをする犬はすごく多い。見た目は面白いんだけど、普通にオスワリできないってことは、もしや病気なのでは?とすれば、もしかしてオスワリの姿勢から健康状態をチェックできたりもするのだろうか。高円寺アニマルクリニックの高崎先生に聞いてみた。

 まず、ノーマルなオスワリの条件とは?「後ろ足で体重を支えて座っているものが基本でしょう。体重が適正で、筋力が適度にあり、関節の神経が正常な犬はこのオスワリができます。でもそれ以外の、お尻をついていたり、足を横に流しているような座り方が異常というわけではありません。人間にも足がしびれやすいから正座ができないという人がいるように、座り方は犬のクセが出やすいものです」

 なるほど。ということは、オスワリの様子から病気がわかっちゃったりはしないのですよね……。「オスワリの姿勢で病気をチェックするってことは、しないですね (きっぱり)。歩き方がおかしい場合は病気を疑いますが」

 でも、おねえ座りとか変形したオスワリは、脚力で体重を支えられないほど太っているとか、ひざや股関節の問題があるからこそと想像するのだけれど……。「確かに、そういう原因があることも。ただしこれらのトラブルがある場合は跛行していたり、長く歩くと足をかばうように歩くなど、歩き方もおかしくなっているはず。おねえ座りだからといって病気と決めつけることはできないんですよ。ただし、急に座り方が変わったという場合は、何かトラブルがあったと考えられます。それから、座っている姿勢ではなく、座るまでの様子もチェックポイントになることが。静かに座らずにボテッと重そうに座るなら、腰のトラブルがある場合が考えられます。加えて歩き方もおかしくなったようなら、診断を受けたほうがいいかもしれませんね」

 ちなみに、おねえ座りやお尻座りがクセになっている場合は、やめさせたほうが体にはいいのだろうか。「変形した座り方は、体重が重かったりなどして足だけでは体を支えられない犬が、関節などの状態を悪化させないためにしているケースが多いものです。これを無理にやめさせると、逆に体に負担がかかってしまうかもしれないので、急に座り方が変わったということでなければそのままにしておいていいでしょう」

 ということで、ひとまずはおねえ座りやお尻座りなど面白いオスワリについては神経質にならず「かわいい!」「こっけい!」と安心して笑っていても良さそうである。

 ただし太りすぎなどの問題が明らかにある犬の場合は、それをクリアにすることはもちろん必要。それからくれぐれも急激なオスワリ姿の変化には、歩き方の変化とともに注意を怠りなく!


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