高齢犬の元気と健康のために
「高齢犬と楽しく過ごす方法 5」


9.老犬はなぜ反抗するの?
■老化度チェック

□名前を呼んでもすぐに反応しない
□指示に従わない/無視する
□叱っても反応しない/無視する
□いつもびくびくしている/神経質になった
□意に沿わないことをすると唸る/威嚇する
□意に沿わないことをすると咬む/咬もうとする

名前を呼んでもすぐに反応しなかったり、指示に従わないことが増えてきます。
でも、無視しているのではなく、呼びかけや指示が届いていないのかもしれません。
飼い主さんは、いつものように(若い頃のように)接していて、おどかすつもりはなくても、犬は突然のことように感じてびっくりすることがあります。
びっくりして怖く感じれば、とっさの反応で咬んでしまうかもしれません。

いやなことは断固拒否の態度をとる、薬を飲ませようとしたら唸る、首輪にリードを付けようとすると嫌がる、足を拭こうとすると咬みつく、 など、嫌なことをされると攻撃的な行動に出るようになる高齢犬がいます。
「歳をとったらますます頑固になって、本当に言うことを聞かない」 というような悩みをお持ちの飼い主さんも少なくないでしょう。

[対策]
視力や聴覚、触覚や振動感知など、感覚の感度が低下してくると、感知したり予測する能力も低下します。
感度が落ちてくれば、それに対する反応が鈍くなってくるの仕方がないことです。

感覚全体が低下すると、逆に神経質になる犬もいます。
わんちゃんも、周りの様子がよくわからなると不安になってきます。
ちょっとしたことで吠えたり、咬むしぐさをとることもあります。

高齢犬に触れるときには、前もって声をかけて予告してあげたり、驚かせないようにそっと触れるようにしましょう。
触れる時に、犬が自分を理解していることを確認するようにしてください。

高齢犬の「頑固」は、単なるわがままや反抗心だけではない可能性もあります。
体力的にも精神的にも余裕がなくなって、「できないこと」や「してほしくないこと」が増えてきているのかもしれません。
わんちゃんの伝えたいことを、こちらから積極的に理解するような姿勢で向き合ってあげてください。
痛みや不具合を疑わせるような態度を示したら、獣医師の診察を受けてください。


10.老犬の歯

■老化度チェック

□口が臭うようになった
□歯石が付いている
□歯が少なくなった
□口を触られるのを嫌がる
□片噛みして食べている
□食事の時に痛そうな声を上げる
□食事を残すようになった

犬も高齢になると、歯や歯肉のトラブルが増えてきます。
歯垢や歯石が多くなると、口臭がしてきます。
歯石は周りの歯肉に炎症を引き起こし、炎症が続くと歯を失うことにも繋がります。
歯の炎症や歯のぐらつきがあると、痛みを感じるようになり、食事を気持ちよく食べられなくなります。
食事が苦痛を伴うようになると、食欲も失っていきます。

歯や歯肉の病気が悪化すると、あごの骨を溶かしたり、口と鼻をつなぐ通路ができてしまうこともあります。
骨が溶けると強度か低下して、骨折する危険が増えます。
口と鼻がつながると、鼻の機能に異常をきたし、嗅覚が麻痺して、食欲に影響してくるこもあります。

歯周疾患は、「サイレント・アーミー(沈黙の病気)」とも呼ばれ、放置しておくと全身に悪い影響を与えることがあります。

全身に悪影響を与える理由は大きく2つ

1つ目は、細菌の侵入です。

歯垢や歯石内の細菌が、歯肉の毛細血管に入り込み、血流にのって全身にいろいろな所に運ばれ、細い血管で止まって、そこで感染と炎症を引き起こします。

特に血管がたくさん走っている臓器でリスクが高い傾向があります。

そこが心臓であれば心内膜炎や心臓弁膜症、肝臓であれば肝炎、腎臓であれば間質性腎炎、骨なら骨髄炎、関節では関節炎などを引き起こします。

2つ目は、酸化ストレスです。

歯肉は、歯垢や歯石と触れ続けることで、常に細菌感染と戦うことになります。

すると、白血球などの働きが活発になり、全身で活性酸素がたくさん作られるようになります。

このように活性酸素が多くなるのが、酸化ストレスです。

簡単に言うと、「体が錆びていく」のです。

金属が錆びていくのと同じ様なことが、体の中で起こっていくと考えればいいでしょう。
いろいろな体の機能が正常に働かなくなっていく様子が容易に想像できると思います。

アンチエイジングは、この酸化ストレスに対抗するための方法や考え方です。

[対策]
歯の病気を予防するには、歯磨きの習慣をつけて、歯垢や歯石がつかないようにすることが大切です。
歯石がついていたり、口を痛がるようになったら、獣医師の診察を受けてください。
不愉快な感じや痛みが続くと、それだけでも大きなストレスになります。
食欲の低下もみられるようになると、全身状態としても深刻になりかねません。
「単なる歯の問題」ではないケースが増えています。


次回は、高齢犬のお世話について



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