| メスの発情は定期的にやってきます。年に2〜3回のペースです。
 発情が軽くて気がつかないだけというケースもあります。
 
 はじめの2〜3回くらいの発情までは、このようなことは珍しくありません。
 
 性成熟は生後7カ月を過ぎた頃ですが、すぐ発情するとは限りません。
 
 遅い猫では、1歳6カ月を超えてから初めて発情するということもあります。
 
 オスにあるのは交尾欲です。
 
 交尾欲が高まってくると興奮状態になるので、それがオスの発情と解釈されているようです。
 
 オスは周りに発情したメスがいないのに、自分だけで興奮することはありません。
 
 発情したメスの臭いをかぐことで、受動的に興奮し、交尾したいという欲求が高まるのです。
 
 交尾を決意したメスは、そのオスの前でゴロゴロして媚態を示します。
 
 同居のメスが発情していないのに、オスの交尾欲が高まってしまったら、それは他の発情したメスの臭いをかいでしまったためです。
 
 もちろん、いくらオスが興奮しても、発情していない同居メスはオスの交尾を許容しません。
 
 猫の恋愛の主導権は完全にメス猫が握っているのです。
 
 猫の発情は、交尾排卵という特徴を持っています。
 
 犬や人は、排卵した時に、いいタイミングで精子が入ってこないと受胎しません。
 
 しかしながら、猫は交尾してから排卵があるので、受胎のタイミングを逃すことがありません。
 
 また、交尾することなく発情が終了してしまった場合、10日〜14日の周期で発情が戻ってくる特徴も持っています。
 
 2重のシステムで、妊娠する可能性を高めているのです。
 
 ですから、猫のオスとメスを、避妊・去勢をせずに飼っていれば、子猫が生まれるチャンスはかなり高いと言えます。
 
 交尾が成立すれば、かなりの高確率で受胎し妊娠するのです。
 
 しかし、実際はそう簡単にはいかないようです。
 
 “動物なのだから、オスとメスがいればいつかは自然に…”という考えや期待が、裏切られることも少なくありません。
 
 妊娠しない原因は、2つに大別することが出来ます。
 
 卵巣、子宮、精巣の機能に問題がある場合と、それ以外の場合です。
 
 メスに発情がない、メスが発情しているのにオスが興味を示さない。
 
 このような場合、卵巣や子宮、精巣の機能に問題がある可能性があります。
 
 また、猫は交尾が成功すれば、ほぽ100%妊娠するので、交尾しているのに妊娠しない場合にも、この間題が考えられます。
 
 卵巣や子宮、精巣に問題がない場合、次の4つの原因が考えられます。
 
 (1)テリトリー内での力関係で、メスの立場が強いと、オスが交尾できないことがあります。
 
 (2)一方がもう一方を気に入らない、またはお互いの相性が悪いと交尾に至りません。
 
 (3)社会的に成熟していないと、交尾行動をしないことがあります。
 
 じゃれ合ったりはするけれど、交尾には至らないのです。
 
 いつまでも子供のままなのです。
 
 (4)恋愛の対象が飼い主の場合。
 
 今回の相談のケースでは、メスに発情がないことが、交尾に至らない原因のようです。
 
 まだ1歳半なので、これから発情が見られる可能性もありますから、2歳半くらいまで見守ってあげましょう。
 
 メスが発情していないのに、交尾をする気にさせる方法は、残念ですがありません。
 
 仮に交尾をさせることができたとしても、妊娠することはありません。
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