高円寺アニマルクリニック
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猫の手帳質問集

第55回
甘える時にすごい臭いを発する
Q.

うちには6歳になる日本猫のオスがいます。このコが甘える時に肛門からすごい臭いを発するので悩んでいます。

酸っぱい臭いと言うか、うんちの臭いというか、とにかくものすごい臭さです。抱っこしている時にその臭いを出されると着替えをしなくてはいけないほど!

一度肛門を拭けば臭いは取れます。

子猫の頃、捨てられていたところを連れ帰りました。

どうやら私のことを完全に母親と思い込んでいるらしく、今でも私がいなくなると必死に鳴きながら探し回り、見つかっても抱っこするまでは鳴きやみません。

このことが何か関係あるのでしょうか?

うちでは計4匹の猫を飼っていますが、臭い騒動はこのコだけです。

なぜなのか教えてください。


A.

今回の猫は、精神的に子猫のままになってしまった、幼児性から抜け出せていないケースのようです。

幼い子猫の時から、母猫ではなく人の手で育てられた場合、子猫と飼い主の関係は子供と母親の関係になります。

成長とともに、ほとんどの猫は多少の幼児性は残すものの、大人の猫として自立していきます。

しかし、なかには自立できずに、飼い主に依存したまま大人になってしまう猫もいます。

このような猫は、授乳時の子猫のように、飼い主に対して過剰な愛情を持っています。

幼猫が母猫の後追いをするように飼い主の後を始終ついて回り、トイレやお風呂にまでついてきて中に入りたがったり、ドアの外でじっと待っていたりします。

少しでも姿が見えなければ大声で飼い主を呼び、無視されたり姿の見えない状況が続けば、飼い主が在宅していても問題行動が現れることもあリます。

少しの甘えは残っていたほうが、飼い主も猫も楽しく暮らせるとは思いますが、ある程度は自立してもらわないと、分離不安症のような問題が起こってきます。

飼い主は、母猫が子別れの時にするように、距離を置いて猫と接し、多少突き放すようにして精神的な自立を促す必要があります。

1.狩りの本能を引き出す遊びを教えます。

狩りは大人の行動であり、飼い主以外へ興味を持たせるきっかけになります。

2.ひとりで遊べるおもちゃを与えます。

また、他の猫も交えて、一緒に遊んだり運動する機会を作りましょう。

十分な運動は体と精神へのいい刺激になるとともに、適度な疲労はストレスやフラストレーションを解消してくれます。

3.姿が見えなくなっても、必ず戻ってくることを教えます。

短い時間からはじめてみましょう。

飼い主がいないことによるストレスの度合いが減っていきます。

4.まとわりついても無視し、我慢できたらしっかりほめます。

猫から甘えてきても無視しましょう。

猫と触れあう場合には必ず飼い主からアプローチするようにしましょう。

よい行動には褒美を与えてその行動が出やすくし、問題行動には無視という罰を与えます。

肛門腺は、臭腺などと呼ばれ、強烈な臭いの分泌液を出すところです。

猫同士の挨拶(お尻の臭いをかぎ合う)に使われ、性的な主張をするともいわれています。

普段はこのような役目に使われますが、恐怖を感じたときや興奮したときには肛門腺が収縮し、分泌液を出すことがあります。

今回のケースは、甘えられそうだという期待と興奮が、肛門腺の収縮をもたらしているようです。

もしかすると、性的な興奮も含まれているかもしれません。
 
問題行動を放置しておくと、その性格は根深く残ってしまい、やめさせるのがだんだん困難になっていきます。

単なる甘え行動だと簡単に考えず、深刻な問題になる前に、少しずつトレーニングを行い、ゆっくりとでも改善するようにしていくことが大切です。


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