|  猫に口を舐められたことはありませんか?
 人の口を舐める行動は、犬ではよく見られます。
 
 犬が口を舐める行動は、野生時代(狼だった頃)の習性の名残だと考えられています。
 
 親犬は、離乳期の子犬に吐きもどした食物を与えていました。
 
 子犬たちは親犬の口を舐めて、食べ物が欲しいことを伝えます。
 
 また、群れのリーダーヘ服従を示す行動、相手をなだめる行動の1つでもあると考えられています。
 
 犬についての相談であれば、吐いたものを食べてしまう行動は、吐きもどしたものを離乳食と思っている、と説明できます。
 
 猫でも同じことが言えるのでしょうか?
 
 野生で暮らしている猫の場合、子猫が生後5〜6週齢になると離乳の時期を迎えます。
 
 母猫は死んだ獲物を持ち帰り、食べて見せ、かみ砕いた獲物を食べさせます。
 
 徐々に直接食べさせるようにし向け、最終的には生きた獲物を持ち帰って、食べるためには殺さなくてはいけないことを教えていきます。
 
 母乳を飲む以外に、母猫が持ち帰った獲物を食べることで、離乳は急速に進んでいきます。
 
 このように猫は、半ば消化したものを吐きもどして子猫に与えることは、ほとんどしません。
 
 口を舐めて相手を確認
 
 では『グリ』ちゃんの行動は、どのように考えればいいのでしょうか?
 
 そこで猫に口を舐められたことはないか、思い出してみてください。
 
 猫の飼育書の中には、猫には自主的に人の口を舐める習性はない、と書かれているものもありますが、私はよく舐められます。
 
 飼い主の口を舐めるという行動は、猫でもよく見られる行動だと思います。
 
 猫を複数飼っていると、仲のいい猫同士では、よく互いにグルーミングし合います。
 
 その時に一方が相手の顔、特に口周りをしきりに舐めている場面
                                      を目撃することがあります。
 
 これは、前述の犬の食事をねだる行動とは違って、相手の口や唾液の臭いを舐めて(味わっている?)認識・確認している行動です。
 
 親しい猫の口の臭いは、魅惑的な臭いなのかもしれません。
 
 そう考えると、チロちゃんの唾液の臭いと、温まってフードの臭いが強くなった嘔吐物は、グリちゃんにとっては、魅力的な食べ物なのかもしれません。
 
 食べるのは徐々に制限
 
 自分の嘔吐物を食べる猫や、他の猫の嘔吐物を食べてしまう猫は、少なくありません。
 
 嘔吐物を食べたことで具合が悪くなったという話はあまり聞きませんので、それほど神経質になることはないと思いますが、決して好ましいことではありません。
 
 自由に食べさせていると、チロちゃんが有毒なものや異物を食べてしまって吐いた場合にも、グリちゃんはおそらく食べてしまうでしょうから、危険が全くないとは言えません。
 
 また、2人分食べることで肥満も気になります。止めさせられる状況の時に、可能な範囲で制限していくことから始めてはいかがでしょうか。
 
 一方『チロ』 ちゃんですが、嘔吐が単発で、吐いた後の食欲や元気さに変化がなければ、生理的嘔吐といわれる、治療の必要ない嘔吐だと考えられます。
 
 しかし、単発であっても頻度が多ければ、食道炎や噴門部(食道と胃の連絡部)の炎症をもたらします。
 
 病気が原因の嘔吐でなくても、頻度を減らす工夫をしてあげましょう。
 
 
 生理的嘔吐の2大原因は、毛玉と一気食いです。
 
 前者の場合は、毛玉
                                      予防の食事やまめなブラッシングで嘔吐をかなり減らせます。
 
 後者の場合、1回の食事量
                                      を、少しずつ分けて与えると嘔吐はかなり予防できます。
 
 勢いよく食べると満腹感が生じる前にかなりの量
                                      の食事が胃に入ってしまいます。
 
 膨張した胃は、食事を吐き出すことでダメージを減らしているのです。
 |